コイッペキ
時は、巻き戻って。
幼稚園のお遊戯会について話し合っていた時のこと。
「すみれ組の皆さん。皆さんに演じてもらいたいのはシンデレラです」
子供相手だとはいえ、
先生は丁寧な言葉遣いで説明している。
「皆さんがどの役柄を演じるか決めていきましょう。まずは皆さんの希望を聴いていきます」
黒板に先生は役柄を書いていく。
陽菜はぐっとツバを飲み込んだ。
ずっと、決めていたのだ。
シンデレラをやりたいと。
兄の蛍は王子様を演じた。紫恩も王子様を演じた。
私だってドレスが着たい。
そう思った。
「まずは、シンデレラをやりたい人、手をあげてください」
先生の言葉を聞いて。
陽菜はすぐに、手をあげた。
「はい、はい、はい」
その瞬間。
「はあ?」
と、近くにい同じ組の男の子(名前はもう、覚えてない)が陽菜を見た。
「陽菜ちゃんがシンデレラは変だよ」
「へん?」
陽菜は首をかしげる。
男の子は立ち上がると。
「陽菜ちゃんはシンデレラじゃないよ。シンデレラになるのは、恵麻ちゃんだよ」
その言葉を聞いた同じ組の子達は。
「そうだよねー」
「お姫様なのは、陽菜ちゃんじゃなくて恵麻ちゃんだよ」
「陽菜ちゃんがシンデレラやったらオカシイよー」
「恵麻ちゃん」
「恵麻ちゃんがシンデレラだよ」
ざわざわざわ。
全員が、陽菜を否定する。
陽菜は、泣きそうだった。
もしかしたら、泣いていたかもわからない。
うつむいて、恵麻を見ると。
恵麻は陽菜を見て、にっこりと笑った。
「せんせー、私がシンデレラをやります」
右手を大きく上げて。
まるで、当たり前かのように。
恵麻は言い放った。
幼稚園のお遊戯会について話し合っていた時のこと。
「すみれ組の皆さん。皆さんに演じてもらいたいのはシンデレラです」
子供相手だとはいえ、
先生は丁寧な言葉遣いで説明している。
「皆さんがどの役柄を演じるか決めていきましょう。まずは皆さんの希望を聴いていきます」
黒板に先生は役柄を書いていく。
陽菜はぐっとツバを飲み込んだ。
ずっと、決めていたのだ。
シンデレラをやりたいと。
兄の蛍は王子様を演じた。紫恩も王子様を演じた。
私だってドレスが着たい。
そう思った。
「まずは、シンデレラをやりたい人、手をあげてください」
先生の言葉を聞いて。
陽菜はすぐに、手をあげた。
「はい、はい、はい」
その瞬間。
「はあ?」
と、近くにい同じ組の男の子(名前はもう、覚えてない)が陽菜を見た。
「陽菜ちゃんがシンデレラは変だよ」
「へん?」
陽菜は首をかしげる。
男の子は立ち上がると。
「陽菜ちゃんはシンデレラじゃないよ。シンデレラになるのは、恵麻ちゃんだよ」
その言葉を聞いた同じ組の子達は。
「そうだよねー」
「お姫様なのは、陽菜ちゃんじゃなくて恵麻ちゃんだよ」
「陽菜ちゃんがシンデレラやったらオカシイよー」
「恵麻ちゃん」
「恵麻ちゃんがシンデレラだよ」
ざわざわざわ。
全員が、陽菜を否定する。
陽菜は、泣きそうだった。
もしかしたら、泣いていたかもわからない。
うつむいて、恵麻を見ると。
恵麻は陽菜を見て、にっこりと笑った。
「せんせー、私がシンデレラをやります」
右手を大きく上げて。
まるで、当たり前かのように。
恵麻は言い放った。