先輩と、一時間。
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「先輩、今日は一緒に帰れますか?」
「ごめん。今日も委員会」
星斗先輩は、この頃委員会が忙しいらしく、一緒に帰れない。
「何悲しい顔してんの?」
そう言って先輩は私の顔を覗き込む。
「俺と帰れないのがそんなに悲しいんだ?」
仕方がないから素直に頷くと、先輩は急に顔を赤らめた。
「何それ、反則なんだけど……」
「だって先輩が聞くから!」
「俺だってお前をからかっただけで、素直に頷くなんて……」
困ってる先輩を見ると、なんだか申し訳なくなってくる。
「ごめんなさい……」
「いや、里歌は謝るな。
俺はさ、里歌の素直なとことかさ、」
プシューという音がして、電車のドアが開く。
もう最寄り駅だ。
「好きだ」
そんな先輩の囁き声が聞こえて、私は慌てて電車を降りた。