死骸
綺麗に死ねるなんて自惚れもいいところだった。



そこに浮かんだ私の『死』はただただ孤独
丸く縮こまった弱者の死骸

汚物を見るような冷たい目に串刺しにされているような、そんな冷えきった空気の中


血を好物とする蛾がそこに舞う

あの薄い羽でひらひらと
自分のはあの生命力にも劣ったのだと、地面に顔を付けた死骸の私が言っている。




私は急に脱力した。
急激に『死』に近づき、『死』は急激に去っていった。
< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop