死骸
「一樹(かずき)、……。」
自信に満ち溢れた成功者の声
期待を乗せて私の名前を口にする。
父の帝王学は小さい頃から私の中にドロドロと流し込まれた。
お喋りな父の姿は、きっと私の目にだけうつる姿なのだ。
「そうなんだ」
「なるほど」
タイミングよく同意、感嘆、尊敬の声を上げる自分に、父は満たされていく。
それとは裏腹に荒廃していく私の心は、父の目に見える形となる事はない。
多く生きてきた人間が、助言のように世の中を
汚い世界を子供に言う事は、罪だ