きみに命を絶たせないため。



はぁと息を吐いたのち、よく似合う銀縁メガネをあげた。

「絶つのか」

『命を』。嗚呼、そのつもりだ。そうだった。でも、千がいると……。



「俺は邪魔かな?」

クスリと笑う、その余裕そうな感じが……。

「あんたのこと、すきになれない」

「へぇ」

どうしたら、それだけ自信たっぷりに笑えるのか。



「死にたいんだ。新花は」

どうして、名前……苗字呼びじゃないの?



「……」



“死にたい”って思いながら生きるのと、“いつ死んでもいい”って思いながら生きるのでは、きっと違うって、信じてる。

私は……。


< 4 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop