きみに命を絶たせないため。
「本当に死ねる?」
メガネに、手がかかる。
彼が放ったメガネがどうしてか、吸い込まれているふうに感じた。
下が見えるであろう彼と、見えない私。当然のような2人の距離。
真っ逆さま。あのメガネは、地面に叩きつけられたか……。それは見えなかった。見えなくてよかったの?悪かった?
「……」
無言に貫かれるようにして、少し目を逸らす。
「飛び降りは」
ギリリ。奥歯が悲鳴をあげた。
「向いていないんじゃないかな」