きみに命を絶たせないため。
「新花は」
遠ざかっていく刃を、もう見ていられなかった。
「新花は、死なない方がいいよ」
……私は?
「絶対、後悔するからさ」
初めて見る、柔らかな笑顔だった。
「いますぐ死んだって、幸せにはなれない。それなら、これから生きて探す方がマシかもよ?」
マシ?どうして?どうして、千は……知っているみたいなの?
すっと立ち上がり、足音なくテーブルへと歩んだ彼は、眉を下げて笑いながら、布を引き取り……。
「ホラ、ね?」
言うなれば、切なげ。言わなくていいなら……言葉など浮かばなかった。
目に飛び込む2文字に、目眩がした。