きみに命を絶たせないため。
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いつも通り、朝が来た。
久々に見た夢に、酔っている気もした。
早朝だと言うのに、酒をあびている、罵倒が趣味のロクでなしの父が、珍しくテレビを、ニュースを見ている。
今日はまだ怒られていないな。
少し喜びながら、いまのうちに家を出ようと急ぐ。……と。
「なぁ」
声を、かけられる。
少し震えた。
顔を向けず、テレビにも奴にも目がいかぬようにしながら、次の言葉を待つ。
「死ぬなよ」