黄色いカーネーション
この数年で気配を消すのが上手くなった。
人の視界に入ると迷惑だろうと思い始めた頃、
まだ救いようはあったのかもしれない。
今は取り返しがつかないような気すらする。
天才を繕うにはあまりにも杜撰過ぎる出来栄えである。

「うわっ、変わったなー。」

その声にビクッとして小さく返事をした。
「見た目もテンションも何から何まで。
はぁー、人ってこんな変わるもんなんじゃなぁ。
悪い方にな。」
ズケズケと言ってくる彼は僕が親友と呼んでいた男だ。
当時は色々な相談も遊びも沢山した。
会わなかった2年間で僕にこんな事があってこう変わったよ、そっちはどう?
頭の中ではよく喋るのに声には全く出せずにパクパクする。
彼は彼女と同じように「そーか。」と言ってどこかへ消えていった。
ああ、こんなはずでは無かったのに。
人が好きで、話すのが好きで、元気で、お調子者な青年だったはずなのに。
変なプライドと、いびつな知識と、醜く腐った容姿でこんなきらびやかに来るべきでは無かった。
来なければ良かった。
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