一騎当千〜二人の剣士〜
違う歩幅、合わない呼吸。でも……千夏は真っ直ぐにぶつかってそばにいてくれるんだ。

あの時から、ずっと……。



僕の両親は、僕が小学校へ入学する直前に交通事故で亡くなった。行き場を失った僕は、お父さんの弟夫婦に引き取られた。千夏は僕より一つ上で、親戚の集まりなどで会った時に仲良く遊ぶ仲だった。

「今日からあたしがあんたのお姉ちゃんだ!!」

千夏はそう言ったけど、僕は一度も「お姉ちゃん」なんて呼んだことはないけど……。

新しいお父さんたちは、僕を本当の息子のように大切に育ててくれた。千夏と同じように褒めてもらえて、悪いことをすれば叱られる。休日は家族で一緒に出かけ、旅行にもたまに行った。

そんなある日、千夏が「これやってみたい!」とテレビを見て言ったんだ。それは剣道の試合の様子だった。竹刀を握った人がつばぜり合いをしている。

「よし!なら、剣道教室を調べてみる」

格闘技が大好きなお父さんはノリノリだ。「千秋も一緒に行こう!」と千夏に誘われ、僕は半分強制的に剣道の体験をさせられ、そのまま剣道を習うことになったんだ。
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