贖罪のイデア

嫌だ……嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ！！！！！！！

血の海に溺れるマイケルの前で、イデアは慟哭と共にその場に崩れ落ちる。

やっと思い出せたのに……やっと贖罪出来ると思ったのに……

どうして私は報われないの？ どうして世界は私を愛してはくれないの？

「それは、貴方がそうやって拒むからよ」



豚の怪物が、怯えるイデアに顔を近づけて生臭い息と共に囁く。

「貴方がそうやって世界を拒み続ける限り、何度だって世界も貴方を拒み返すわ。あの傷でここまで来れたのは褒めてあげる。だけど、その結果が思い通りにならなかった途端駄々をこねる貴方ははっきり言って今の私より醜いわよ」

「うるさい……この人殺し……！ 返して、マイケルを今すぐ返して！」

「ええ、私は人殺しよ。でもそうやって、せっかく愛されているのに自分を殺し続ける貴方は果たして人殺しじゃないのかしら？」

「……うるさい……貴方に……貴方に私の気持ちが分かるわけなんて……！」
歯ぎしりするイデアの前で、豚の怪物が肉切り包丁を振り上げる。

「はーい、時間切れ！ タイムオーバーだブー。『試練』を乗り越えられなかったイデアちゃんは子豚の肉屋に解体されちゃうの。何てミスマッチで素敵なことでしょう！ でもイデアちゃんが招いたことだから、それも仕方ないブーね！」



肉切り包丁が、持ち主の喜びに呼応するように輝く。



それを見上げるイデアの目は……再び、夜の帳よりも深い闇で覆い尽くされていた。