【短】Reduce

あの頃は、無表情なことが多かった私。
更に輪を掛けて、祖父の死で沈みがちになっていた。
それに対して何か言われることには慣れていたけど、彼はそんな私を闇の中からグッと引っ張ってくれて…。


『みゃーこは笑ってる方がいいよ』


その言葉に、なんだか救われた気がした。


目も見張るほどのイケメンで、身のこなしがスマートで。
ハスキーな低音ボイスに、形のいい口唇。


この人に愛されたら、自分は変われるかもしれない…。



そんな風に思わせる魅力的な存在。


だから、彼から告白を受けた時には…世界がひっくり返るくらいに驚いた。


少し暗めの給湯室。
急須から溢れるお茶が、部長の湯呑みをいっぱいにするほど…。





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