【短】Reduce

私はあまり感情が表に出ない。
というか、出すのが苦手。

それでも、最低限の努力で身に付けた【笑顔】という、スキルで、なんとかその場その場を乗り切ってきた。


けれど…恋愛についてはどうにもこうにも、奥手…を通り越して最早干物で。


このまま、誰からも愛されなくてもいいかな。


なんて、深夜放送のテレビに映るマナティーを見て思っていた。


だって、自由の何が悪い。
誰かに自分を束縛されるよりも、自分の為に時間を使った方が、遥かに人生の効率がいい。

夢を見る年でもない。
結婚に憧れる年でもない。
ましてや、キラキラの恋愛を目指す年頃なんかでもない。


「とりあえず、換気…だな」


私的に悪臭でしかない匂いを消臭スプレーと窓を開けることで、なんとかする。

明日はゴミの日だから、シーツやら何やらは全て捨てるとして…。


「これを機に引っ越すか」

そんなことを思った。

この部屋に特別の思い入れはない。
そして、さっきまでここで盛っていた相手にも。

私は私。

何があっても、それは変わらないから…。


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