【短】Reduce
「ふぅ…」
なんとか、ゴミ袋7個分のゴミをまとめて、一息つく。
なんだか、非常に喉が渇いたなぁ…。
そんなことを思って冷蔵庫を開けると、隠しておいたビールを見付ける。
「…飲むか」
3階建ての角部屋は、まぁ気に入っていたけれど、それ以外に何かあるかと言われると、答えに詰まる。
それくらい、何にもない…部屋。
ぽつん、とした空間。
かしゅっ
軽快な音を立てて開いた缶。
少しだけ溢れた泡に、口を付けてごくりと一口。
「男の戯言に一時でもほだされた私が悪い…かな」
なんのアテもなしに胃に流し込むアルコールが、じわじわと身に染みる。
けれど、悲しいという想いは一欠片もなくて。
そんな自分の価値観に、少しだけ気持ちが沈んだ。
「大体、甘い言葉の裏には何かしらあるってね」
くすくす
久しぶりに飲んだせいか、妙に酔うなぁ…。
たかだか350mlくらいで、こんな風になるのは初めてだ。
だって私はザルというか、ワク。
酒豪も酒豪、大酒豪で、アルコールを摂取するようになってから今まで、一度も失態をおかしたことがない。
なのに………。
「はぁ…。なんかしっくり来ない。あいつらのせいかな…。飲み直し飲み直し。とりあえずコンビニ行こ」
と、追加のビールとアテを買いに、財布を持って外に出た。