先生は溺愛ダンナさま  旅行編
笑って否定したけど彼はまだ私を心配そうに覗きこみながら背中をさすってくれている。


まるで小さい子供をあやすように優しく。


「いまが幸せだからもういいの」


それはまぎれもない私の本心。


「すみれはいい子だね、だけど我慢しないで。これからはなんでも話し合っていこうって決めただろ?」


「うん我慢なんてしてないよ、大丈夫」


我慢とかそういうんじゃないんだ、ただ過去にとらわれて現在を台無しにしたくない。


高校の担任教師だった当時の彼は、はっきり言って生徒の私なんて恋愛対象ではなかったんだろうなって今ならちゃんとわかってるの。
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