先生は溺愛ダンナさま  旅行編
いつものキリッとした彼も勿論好きだけど、こうしてだらしなく酔っ払って甘えてくる彼も可愛いな。


そんな風に思う私はもう高校生の時の彼に恋するだけの私じゃない。


これが愛なのかなってふと思うと、それだけで嬉しくなる。


彼が私に初めて会った時から好きだったと聞いて勿論すごく嬉しかった。


だけど、いつから好きだったのかなんて、もう気にしたりすることなんてないような気もした。


そして、過去に彼が誰を好きだったのかも大した問題ではないんだ。


今彼は私のてのひらの中にいて、私達はこれからも互いを必要として一緒に生きていくんだから。


そう、過去よりも現在を、未来を2人で見つめていけばいい。


「すみれ、すみれ」


彼は一晩中、何度か私の名を呼んできた。


そしてちゃんとそばにいることを確認すると安心したように眠りにつく。


私は酔っ払った彼をなんとか着替えさせてからようやく彼の腕のなかで夢の世界に落ちていった。


とろけそうなくらいに甘やかで幸福な2人だけの夢の世界へ。

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