先生は溺愛ダンナさま  旅行編
ますます彼は不安そうにするけど、そろそろ乗り物は最高点に到達しかけている。ガタガタと足元で音がしていてスリル満点だ。


「大丈夫だって、その時はその時」


「いや、ヤバイって。この寒さだから濡れたら風邪ひくよ」


「理人さん、落ちる時に写真撮ってくれるから笑顔で両手をあげようよ」


すっかりハイになっている私は面白いことを思いついたとばかりに提案する。


その瞬間体が傾いて重力に引かれるままに落ちていく。


「キャーキャー」


楽しー、もう最高ーと思ったと同時にバッシャーンと水の柱が襲ってきて視界が見えなくなった。


ギュッと目を閉じて、もう一度ゆっくりと開けたら理人さんが私に覆いかぶさるようにしている。

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