先生は溺愛ダンナさま  旅行編
「理人さん?」


彼が身を呈して私を守ろうとしてくれたことに気がついた。


そんな彼は髪と背中が特にずぶ濡れになってしまっていた。


「わっ、理人さん大丈夫?うそ、どうしよっ」


目が合うと、彼は眉を下げてクッと笑っている。


「ほらやっぱりこうなるだろ」


「ごめんね、大丈夫?」


「大丈夫だよ、だけどすみれを守りきれなかったな」


彼の視線の先を見れば、私の足元が少し濡れてしまっていた。


理人さんの方がこの何倍も大変だっていうのに。


ああ、私のダンナさまはどうしてこんなにも溺愛してくれるんだろう。


こんな時でも私を大切にしてくれる彼に密かに感動していた。


「このくらい平気。だけど理人さんの方が心配だよ」


濡れた髪が妙に色っぽい、これぞ水もしたたるいい男といった風情だ。

< 79 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop