先生は溺愛ダンナさま  旅行編
「いいよ、タオルを買って拭くから」


だけど、彼は楽しそうだ。


「予測不能なことでも、すみれと一緒ならこんなに楽しいんだな」


乗り物を降りて肩にかかった水をはらいながら、しみじみと彼が呟く。


「理人さんたら大袈裟だな、でもかばってくれてありがとう」


手を伸ばして彼の濡れた前髪に触れたら、優しく微笑み合っていた。


「でもほんとだね、どんなことでも理人さんと一緒だったら嬉しくて楽しいよ」


あ、どうしょう。
また今すぐキスしたいって思っちゃうよ。


彼をジイッと見つめたら、ふわりと笑ってくれた。


わかったというように頷いた彼は私の手を握りしめたから、一緒に歩きだした。

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