先生は溺愛ダンナさま  旅行編
お土産ものやさんで、恐竜の絵柄のバスタオルを買って静かなところで彼の頭を拭いてあげる。


「すみれ、もう少しこっち」


「うん」


お店を出たところの木の影にこっそり隠れるようにして、顔を近づけた。


バスタオルでも周りに見えないようにガードして気をつけながら、触れるだけの短いキスをした。


ほんの一瞬でも嬉しくて飛び上がりそうなくらい心は弾む。


「好き」


「うん、俺も好き」


さすがに彼は照れくさそうだ。

まさかこんな公衆の面前でキスをねだられるとは思ってもいなかったろうな。


だけど、こうして彼は私の願いを叶えてくれるんだ。


ひとつひとつ丁寧に。

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