逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
忍は樹利亜を抱き寄せた。
「大丈夫だ、心配するな」
ギュッと樹利亜を抱きしめて、忍はそっと慰めた。
「…あの人はモンスターです。…何をするか、解りません…」
「そうか。樹利亜がずっと怯えていたのは、それが原因だったんだな? 」
「…あの人に母も殺されているの…」
「もういい、今は何も言うな。とりあえず、暫くはここから出るな。母さんにも言っておくから」
「はい…」
返事をするものの、樹利亜の震えはずっと止まらなかった。
添い寝をして、忍は樹利亜をギュッと抱きしめていた。
どのくらい時間が過ぎたのかは分からない。
とても静かな時間を感じる中。
樹利亜の震えは治まってきた。
「あの…」
ボソッと、樹利亜が言った。
ウトウトしていた忍だが、樹利亜の声でハッと目を覚ました。
「どうした? 」
「…私…やっぱり、別れます貴方と…」
「何故だ? 」
「だって貴方が…何をされるか、解らないから…」
何も言わずに、忍はそっと樹利亜の額に額をくっつけた。
「心配するなって言っても、樹利亜は心配するから何も言わない。だが、俺は離婚する気は全くない」
「でも…こんな私じゃ、貴方にとっては足手まといですから。…貴方は、大切なこの家の跡取りでもあるし…」
「ふーん…そっか。やっぱり、そこが一番引っかかっていることか」
「だっ…」
だって、と言いかけた樹利亜の言葉を遮るように、忍はそっとキスをした。
不意打ちのキスに、驚く樹利亜だが、初めてのキスよりもっと深いキスに鼓動が高鳴ってゆくばかりだった。
息継ぎもできないほど、激しいキスが繰り返されて。
ゆっくりと、忍が樹利亜のパジャマのボタンを外してゆく…。
ダメ! と、樹利亜は抵抗してみたが、忍の力は強く、振り払えなかった。