逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~

「ん? 」


 忍の姿を見て、芹亜は首を傾げた。



「あんたが芹亜さん? 」


 芹亜の傍に来て、忍が尋ねた。


「そうよ、貴方は? 」

「おれは、宗田忍。宗田ホールディングの副社長。そして、樹利亜の夫」


 樹利亜の夫と言われ、芹亜はちょっと意外そうな目をした。


「へぇー。あんたがねぇ…。あのブサイクと結婚したんだ」

「そっ。んで、今日は俺の父さんの事待ってたんだろう? 」

「ええ、そうよ」

「父さんじゃなく、俺が相手じゃだめ? 」

「はぁ? あんたが? 樹利亜と結婚しているのに? 私と不倫しようって事? 」

「んー…不倫になるかな? 」


 芹亜は怪しく笑った。


「いいわよ、どうせあんなブサイクじゃ。抱けないでしょうから。私が代わりに、相手をしてあげるわ」


 と、芹亜は忍の腕にしがみついた。


「行きましょう。ここのホテルに、部屋を取ったの。勿論、ダブルでね」


 芹亜は忍にすり寄った。

 忍はちょっと呆れたように、ため息をついた。







 ホテルの一室。


 ダブルの部屋でわりと広め。

 ダブルベットが置いてあり、ちょっとしたソファーとテーブル。

 窓からは夜景が綺麗に見える。


 芹亜は上着を脱いだ。

 上着を脱ぐと、紫の派手ワンピースだけになる芹亜。

 スリップドレスタイプで、体のラインがピッタリ判る。

 胸の谷間を強調して、芹亜は忍に近づいてきた。


「さぁて、たっぷり可愛がってくれるわよね? 」


 忍の首に腕を回して、怪しく見つめる芹亜は、まるで魔女のように怖い目をしている。
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