逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
俯いた芹亜の表情から、忍はなんとなく後悔している感じを受けた。
「俺は、あんたが何を言おうと樹利亜を信じている。後は、自分でどうするべきなのか考えればいいだろう」
それだけ言うと、忍は部屋を出て行った。
芹亜は暫く茫然と佇んでいた。
ホテルを出て、忍はやれやれとため息をついた。
時刻は22時を過ぎていた。
そのまま忍は家まで歩いて帰る事にした。
その後芹亜は、23時を過ぎた頃ホテルから出て来た。
いつもより疲れた様な顔をしている芹亜。
そんな芹亜の背後に近づいてくる黒い影が…。
「ん? 」
気配に気づいて芹亜が振り向くと。
芹亜の背後に、黒づくめの男性らしき人物が近づいてきた。
誰なのか芹亜が目を凝らした。
と…。
「うっ…」
突然、苦痛な非常を浮かべた芹亜。
黒づくめのお男が芹亜に近づいて来て、ナイフで腹部を刺した!
めざし帽を深くかぶっている、やせ型の男。
「だ…誰? …」
苦し紛れに、芹亜が男の帽子を取った。
帽子がとれた男の素顔は、とても青白い顔をしている、彫りの深い顔立ちをした紳士だった。
「あ…あんた…」
グサッ…。
また深く芹亜の腹部を刺した男。
地面に血がしたたり落ち、辺り一面が血に染まって行く…。
「芹亜。これでもう終わりだ…」
芹亜はその場に倒れた。
「キャー!! 」
通り行く人が悲鳴を上げた。
男はポケットから何か薬のようなものを取り出して口に入れた。
「グフッ…」
嘔吐する男の口から血が滴り、男もその場に倒れた。