逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
しばらくしてサイレンの音が響いてきた。
深夜の駅前が血まみれになり、騒然となった…。
その頃。
帰宅した忍を、優輝がとても安心して迎え入れていた。
「良かった無事で」
安心して、ギュッと忍を抱きしめる優輝。
「ちょっと、父さん苦しいって」
「お前に何かあったらどうしよって、思って…。警察に連絡するべきかどうか、ずっと迷っていて…」
優輝の声が上ずっていた。
「大丈夫だって言ったろう? 何もされていないよ」
「本当か? 」
「ああ、俺は父さんの子供だよ」
「そうだな」
「じゃあ、解るだろう? そんじゃそこらの、女には反応しないって」
優輝はちょっと赤くなった。
「あ、その顔は。父さんも同じなんだ」
「ば、ばか。そんな事は、どうでもいいだろ? 」
優輝は照れてしまい、寝室へ行ってしまった。
「俺はこの体質、すげぇ気に入ってるぜ。有難うな、父さん」
忍はそのままお風呂に向かった。
入浴を済ませて、忍が就寝についたのは深夜0時を回る頃だった。
芹亜が刺された事件は、翌日のニュースで報道された。
刺した相手は里田博一(さとだ ひろかず) 65歳。
金奈病院に入院していた余命三ヶ月の患者で芹亜の父親。
芹亜は養女で博一とは血が繋がっていない親子である。
博一の病室には遺書らしいものが残されていた。
(大切な家族を殺して、大切な我が子を脅し続ける養女をこれ以上は生かしておけない。妻のサチを殺したのも芹亜だ。毎日食事に毒を入れて、殺した。証拠は庭に埋めてある。私の薬にも微量の毒を入れている為、薬は飲んでいない。私の命を使って我が子を脅している芹亜を許すことは出来ない。この命もあとわずか。芹亜を殺して私も逝くとする…妻の下へ…)
この遺書を元に警察が動き出し、芹亜の余罪を調査している。
芹亜は腹部を深く刺されたが、一命を取りとめ現在は警察病院に入院している。