逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
里田の家の庭からは、毒薬の入っていたとみなされる瓶が発見されている。
芹亜は医師であり、薬には詳しい。
以前は国立病院に勤務していた芹亜だが、担当患者が不審な死に方をする患者が増えてきて、病院側が良からぬ噂が立つ前にと芹亜を解雇した。
その後は個人病院に勤務していた芹亜だが、プライドが高く院長の言う事を全く聞き入れず好き勝手ばかりやっている為、どこに行っても解雇されてしまってばかりだった。
それからは仕事をしなくなり、夜遊びばかりしていた芹亜。
高学歴の男性を狙って言い寄って行っても、相手にされない事が多かったが、芹亜を捨てた男性は不審死をしている者が多い。
階段から転落死したり、交通事故で突然死亡したり、行くへ不明になっている人もいる。
警察は他にも余罪もあると見なし調査中である。
ニュースで事件を知り、忍はようやく樹利亜が怖がっていた真実が見えてきた。
駅の歩道橋で見かけた芹亜と電話の声の芹亜から、忍はとても異常な感覚を感じしていた。
お金に執着して、樹利亜からたかっているのも狂っているように感じていた。
樹利亜が芹亜を「モンスター」と言ったのも納得が出来る。
養女であっても、育ての母親を毒殺してしまうくらいである、思い込むと何をするか分からないのだろう。
副社長室の窓から外を見ながら、忍はそんな事を考えていた。
「樹利亜…どこにいるんだ? 」
残された樹利亜の携帯を握り締め、忍はいつも樹利亜が無事でいるように祈っている。
樹利亜が別れを告げて、間もなく一ヶ月が過ぎようとしている。
一向に手掛かりがつかめないままで、樹利亜の行くへは判らないままだった。