逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~


「ただいま」


 忍が帰宅してきた。




 リビングに向かうと、希歩がほっとした表情を浮かべた。


「お帰り忍。大丈夫だった? 駅前、大変だったでしょう? 」

「ああ、すごいの見ちゃった。でも大丈夫だよ」

「よかった、すぐに逮捕されて」

「うん。…」


 忍はちょっと疲れた顔をしていた。



 夕食前にお風呂入り、一息つく忍。


 駅前で見た、芹亜の哀れな姿に、衝撃を受けなかったわけじゃない。

 だが…

 芹亜に感じていた違和感を、樹利亜にも感じていたことを忍は思いだした。



 初めて会った時から、樹利亜は顔はとてもブサイクだが、スタイルは良くグラマーだった。

 あんなに顔がむくんでいて太っているのに、どうして体はが太っていないのか不思議だった。


 顔だけ醜くて、体はスタイル抜群。


 違和感でたまらなかった。




 ふと、ビルの前ですれ違ったあの綺麗な女性を思いだした忍。


 帽子を深くかぶって顔をハッキリ見せていなかった女性。


 だがあのスタイルの良さは、どこか樹利亜と同じだった。



「まさか…」


 顔を思い出してみるが、樹利亜とは全く重ならない。

 
 でも…。


 胸がキュンと鳴ったのを感じたのは同じだった。


 


 お風呂から出て、夕飯を食べ終わると忍は自分の部屋で考え事をしていた。


 ふと、何気に樹利亜の残した携帯が気になり手に取ってみた。



 別れのメールが残されていて、他に手掛かりがないかと電話帳登録を見てみたが全て消されているのか何も残っていなかった。

 
 他に手掛かりがないか、ネットの使用履歴もなく、メールと電話以外は何もなかった。


 だが…


「ん? 」


 アルバムの機能が残っているのが目に入った。


「写真か…」


 何となくアルバムのフォルダーを開いてみる忍。


 すると…。

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