逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
「これは…」
アルバムの中に写真が残されていた。
それは、とても綺麗な女性と博一が写った写真だった。
「この人…」
綺麗な女性を見ると、あの帽子を深くかぶて通り過ぎた女性と似ている感じがした。
ほっそりしたシャープな輪郭に、魅力的な唇。
目は切れ長のクールな目をしているが、優しそうな感じがする。
一緒に写っている博一は、警察官の制服を着ている。
そしてもう一枚写真があった。
その写真は芹亜が先日見せた写真と、同じだった。
綺麗な女性と、博一と、もう一人とてもブサイクな顔をした女性が映っている。
どこかのお墓付近で写した写真のようで、喪服姿である。
ブサイクな顔の女性は、ムスッとした表情で、浮腫んだ顔に腫れぼったい目につぶれた団子鼻。
そして体系も太っていて、着ている喪服も窮屈そうである。
(ブサイクな方が私)
芹亜はそう言った。
そして、忍は写真を見ていると、初めて樹利亜から電話を受けた時の事を思い出した。
(私と結婚して下さい)
そう言われた時、樹利亜の声からスーッと見えてきた女性が居た。
その女性は…この写真の女性と同じだった。
「そうか…分かった…」
写真を見ていると、忍は何かを感じたようだ。
「そうだったのか。…あの時見えたのは、やっぱり樹利亜の本当の顔だったんだ」
もう一度写真を見て見る忍。
「そうだよ…。だって…こんなに胸がキュンと鳴っているから間違いない」
そっと携帯電話を胸に当て、忍は微笑んだ。
「…樹利亜。…時々、携帯電話を見て悲しそうな目をしていたのは。この写真を見ていたんだな…。樹利亜…愛している…会いたい…」
忍はそっと呟いた。