逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~

「俺の両親も大賛成してますので、心配しないで下さい。樹利亜さんのご両親にも、ご挨拶したいのですが、どちらにいらっしゃいますか? 」

「…両親はいません。…もう、亡くなりましたので…」


 悲しそうに視線を落とす樹利亜。


「そうだったのですか。すみません」

「いいえ。…でも…本当に、私でいいのですか? 」

「勿論です。ずっと、俺と一緒にいて下さい」


 頭を下げる忍。

 そんな忍を見ると、樹利亜の気持ちも何となく安心感を覚えた。


「分かりました。では、こちら記入しますね」


 鞄からボールペンを取り出して、樹利亜は自分の分を記入した。


 最後に印鑑を押した樹利亜は、もう一度忍を見た。


「これで、いいですか? 」


 記入された婚姻届けを見て、忍は目を潤ませた。


「はい、有難うございます。さっそく、一緒に出しに行きましょう。そして、今日から一緒に暮らして下さい俺の家で」

「今日からですか? 」

「はい、お住まいはどちらですか? 」

「派遣の寮に住んでいるので…」

「それなら、一緒に荷物を取りに行きます」

「はい…」


 樹利亜は忍を見ていると、不思議な気持ちになり。


 今まで出会った人とは全然違うタイプの人で、イケメンなのにどこか変わっていて。

 全てを感覚で答えているように感じた。


 その後他愛ない話をした忍と樹利亜。

 話の中で、忍が宗田ホールディングの副社長である事を知って、樹利亜はまた驚いた。

 忍は姉弟がいて、姉の絢(あや)は3年前に結婚して現在アメリカに住んでいる。

 弟の幸太(こうた)は高校生から留学して姉の絢と一緒にアメリカに住んでいて家にはいないと。


 社長である父の優輝と母の希歩が一緒に住んでるだけだと話してくれた。


 樹利亜は驚くばかりで、信じられなかった。


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