逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
女性の後ろには希歩が居た。
驚いたのか、女性は息を呑んだ。
「あの…ちょっといいかしら? 」
「な…なんでしょうか? 」
答える女性の声に聞き覚えがあり、希歩は女性の顔を覗き込んだ。
「ちょとだけ、貴女と話したい事があるの。一緒に来てくれない? 」
「な、何で私が? …」
「似ている人を探しているの。だから、聞きたい事があるの」
「ひ、人違いですから…」
否定しいてる女性を見て、希歩は何となく確信したようだ。
「人違いでもいいわ。ここ、人が多いから内緒話しできる所に行きましょう」
女性の手を引いて、希歩は歩き出した。
希歩は女性をシティーホテルのカフェに連れてきた。
「ここなら、誰にも聞かれないから安心して」
ふと、希穂は女性のお腹に目を止めた。
何となくゆったりしているワンピースに、ちょっとだけお腹が出ている感じが見えた。
細身の女性にしては、ちょっと何か違うような気がした。
「誰もいないから、帽子とっても大丈夫よ」
希歩がそう言うと、女性はちょっと困っている様子だったが、しぶしぶ帽子を取った。
帽子を取った女性の素顔は。
あの樹利亜が残した携帯電話に残っていた、写真の綺麗な女性だった。
希歩は女性を見て思わず見惚れてしまった。
「あ、ごめんなさい。座って」
言われると、女性は上着を脱いで椅子に腰かけた。
上着を脱いだ女性は、ワンピースの左胸に弁護士のバッジがついていた。
「あら、貴女も弁護士なのね? 」
「はい…ずっと…弁護士からは離れていましたが…最近ようやく、復帰できました…」
「そう…良かったわね…」
希歩は女性を見ていると、目が潤んできた。
「あ、珈琲は…ううん、温かいココアかミルクにしましょうね」
手際よく希歩は温かいミルクとココアを注文してくれた。