逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~

 事務所に行った樹利亜は澤中に、忍との離婚は取りやめる話しをした。

 義務的に澤中は「分かりました」と言った。

 しかし。


「取りやめて安心しました。彼の、とても真剣な目を見て私も心が痛かったのです。とても深く愛していらっしゃるようで。私にも伝わってきましたよ」

「はい…。彼は、私にはもったいないくらいです」

「そんな事はありません。幸せになって下さい。困ったときは、いつでも私を頼ってくれて構いませんから」

「はい、ありがとうございます」



 

 事務所を出て、樹利亜は下で待っていた忍の傍にやって来た。


「ちゃんと話してきたか? 」

「はい。もう大丈夫です」

「それじゃ、戻ろう。俺と樹利亜の家に」

「はい」


 仲良く手を繋いで、忍と樹利亜は宗田家に戻って行った。




 戻る途中。

 樹利亜は整形前は弁護士をやっていた事を話した。

 澤中の事務所で働いていて、忍と離れてから少し勤務していたと。

 でも妊娠に気づいてどうしようか迷っていたと。



 忍は樹利亜から話を聞くと。


「やっぱり樹利亜はすごい人だったんだな。電話で初めて声聞いた時から、ずっとそう感じていた」

 と言った。

「あの時、忍さんに電話がつながって。とっても暖かい気持ちになれて、迷わず「結婚して下さい」って言ってしまって。すんなり承諾してくれた事。正直、驚いていたんです。もしかしたら、からかわれたのかもしれないって思って。待ち合わせの場所に、来てくれないんじゃないかて思ってました」

「俺も、ちょっとだけ不安はあったよ。でも絶対に会えるって、信じてたから」

「まさか、とても素敵な人が来てくれるなんて本当にびっくりしました」

「お互い驚いたことが多かったな。でも、今こうして一緒にいられる事。とても幸せだよ」

「はい…」


 ギュッと手を握り合う忍と樹利亜。


 家までの道のり、お互いの手を握り合って歩いていた。
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