逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
無事に宗田家に戻った樹利亜は、それから優輝と希歩が祝いをしてくれた。
結婚してからずっと、結婚式もしないでそのままだったことから、2人で写真を撮るのはどうかと提案した優輝と希歩。
入籍してずっとバタバタしていて、結婚式の事も何もかもすっかり眼中になかった忍は、まず先に樹利亜と2人で写真を撮る事にした。
まだお腹も目立たない樹利亜だから、着れるドレスも沢山ある。
結婚式は子供が産まれてからでもいいと、忍は言った。
とりあえず、今日はゆっくりしなさいと言われた忍と樹利亜。
2階の寝室はそのままになっていた。
いつ樹利亜が帰ってきてもいいように、枕も2つ並んでいた。
「樹利亜、これ受け取ってくれるか? 」
忍が樹利亜に差し出したのは、綺麗な指輪の箱に入った輝くダイヤの指輪だった。
その指輪を見ると樹利亜は驚いた。
「これ、本当はあの夜の次の日に渡したかったんだ。俺が、樹利亜とちゃんと繋がれたら渡そうと思っていたから」
そっと、忍は樹利亜の左手の中指に指輪をはめた。
「よかったピッタリで」
樹利亜の指にはめられた指輪は、とても綺麗に輝いている。
「有難うございます…こんなに素敵な指輪を…」
「それは婚約指輪。結婚指輪は、結婚式の時に用意するから」
樹利亜は忍をそっと見つめた。
「忍さんって、とっても不思議な人ですね」
「え? 俺が? 」
「だって、あんな顔の私なのに。本当の顔しか見えていないとか。みんなが避けて通っているのに、躊躇うことなく話しかけてくれたり。突然、知らない人から「結婚して下さい」って言われているのに、何も疑わないなんて…不思議な人だと思います」