逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~

 ギュッと抱きしめられ、樹利亜はドキッとして赤くなった。

「一緒に寝よう。俺達結婚したんだよ。別々なんて寂しいじゃないか」

「でも…」

「どうして? 今日は、結婚初夜だよ」


 そう言って、優しく樹利亜の髪に触れる忍。


 樹利亜は恥ずかしそうに視線を落とした。


「有難う、俺と結婚してくれて。幸せにするから」


 幸せにするからと言われると、なんとなく樹利亜は喜びを感じた。

 こんな私に、そんな事を言ってくれるなんて…。


 喜びを感じた樹利亜に、ふわりと温かい唇が重なった。


 え? キス? 


 不意打ちにされたキスに、樹利亜は驚いた。


 軽く触れた忍の唇から、とても暖かいエネルギーが伝わってくるのを感じて、樹利亜はギュッと忍の腕に捕まった。


 唇が吸い上げられると、スルッと忍が入って来る…。

 柔らかくて暖かい感触に、樹利亜はとろけそうになった。


 深く…そして強く…。

 息継ぎをするのも惜しむくらい、何度も繰り返されるキス…。

 
 2人の愛し合うキスの音が寝室に響いていた…。



 だが、キスをしながら樹利亜が震えているのを感じた忍は、そのままギュッと樹利亜を抱きしめた。


「今日はキスだけにしておく…」

 樹利亜の耳元で、忍がそっと囁いた。

 樹利亜は俯いて何も答えなかった。


「俺は樹利亜の事を大切にしたいから。無理な事はしたくない、キスでも十分伝わって来たよ。樹利亜の気持ち」


 ギュッと抱きしめたまま、忍は樹利亜をベッドに寝かせた。


「これから、一緒に楽しめばいい。何も心配しなくていい。俺は、樹利亜の事を護るから」


 護るから…。

 その言葉だけで、樹利亜は胸がいっぱいになった。

 そっと頷いた樹利亜。


「おやすみ…」

 そっと布団をかけて、ギュッと樹利亜を抱きしめたまま忍は眠りについた。

 樹利亜もそのまま眠りについた。


 
 
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