【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「……参ったな。これ、内緒な?」
八雲先生は少し間を置いて、人差し指をたてると、照れくさそうな笑顔を浮かべた。
えぇーーーー!!
八雲先生に彼女が……!?
予想はしていたのに実際に知った今、やっぱり驚いてしまう。
……海ちゃんが知ったら倒れるだろうな。
「安心してください!もちろん、誰にも言いませんよ……!」
勢いよく言ったもんだから八雲先生は吹き出しそうになっていた。
ちょっと恥ずかしくなる……。
「よかった。雨野が元気そうで。あんなことがあったから沈んでるかと思ってさ」
心配してくれていたんだ。
それはきっと学校宛に届いたあの手紙のことだろう。
気にしてないと言えば嘘になるけど、俯くことよりも、今は私に出来ることを探したいんだ。
「大丈夫です……八雲先生もお父さんに電話してださったみたいで。わざわざ、ありがとうございました」