【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?



「有段者って……」



葵くんが?

いつも寝てるくせにそんなことをいきなり言われても怪しいんだけど……。



「あ。レスリングもやったことないし、金メダルなんてもらったことないけどね?」



フッと息を吐いた葵くん。


私に振り向いて、ツンと顎を出して笑ってみせた。



「あーーー!!だから私が海ちゃんと話してる時笑ったんでしょ……全部、知ってたんでしょ?」



今日から私の同居人になるのが自分だってわかってて、と文句を浴びせると、



「空手で黒帯。それだけじゃ不満?」



リビングの隅にキャリーケースを置きながらさらっと口にする。

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