【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
ちょっと、待って……。
どうしてこうなったんだっけ……!?
起きてまもない頭を、猛スピードでフル回転させ、記憶を辿る。
そうだ……。
確か葵くんに過去の話しを聞いてもらって、それから……えっと。
泣き疲れた私は、葵くんの胸を貸してもらって……。
だ、ダメだ。
その先の記憶がない。
「ん……雨野?」
マズい、葵くんのことを起こしちゃったみたいだ。
「……お、おはよう。葵くん」
「ん」
キャラメル色の髪がサラっと揺れて、まだ眠そうな瞼をこする。
そんな葵くんの腕は今もなお、私の身体にしっかりまわっていて……。