【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「葵くん、聞いてたの……!?」
「聞こえたの。さっきからここにいたし?」
葵くんはクラスの休憩スペースを指さした。
「あ、気づかなかった……」
「それは雨野が雪永しか見えてないからでしょ?」
「へ……?」
「目の前で抱き合うとか朝から大胆だよね」
葵くんは私を見下ろすように口角を上げて笑った。
それは今朝の話をしているんだろうけれど。
「あの時は、私も嬉しくてホッとして……」
「よかったじゃん」
今度は、ニコリと笑ってくれた葵くんに、胸がトクンと疼いた。
「で?そのカップケーキを誰にあげるって?」
「……っ、」
そこまで聞かれてたんならもう誤魔化しようがない。