【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「私の部屋は隣なんだけど。だから寝る時は、ここ……閉めるから」
私はリビングの真横にある自分の部屋のふすまを指差した。
……すると、
「寝込み襲われるとか思ってんの?」
「な……っ!」
見透かしたような意地悪な笑み。
不覚にもドキッと心臓が跳ねる。
「こ、ここは私と葵くんの境界線で……っ」
「なにをそんなに心配してんの?」
「葵くんは……護衛だもん!だから別に心配してるわけじゃないけど……でも絶対、越えてこないでよね!」
一気に言うと、くるんっと背を向けて部屋に入ろうとした。
「だったら越えさせるようなことしないでね?」
「越えさせるようなこと……?」
私はついつい振り返ってしまった。