【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「ダメってなに?」
「だから、そういうこと言わないでってことだよ……」
まるで意味がわかっていない葵くんに私は唇を噛んだ。
「俺、嫌なこと言った?ちゃんと言ってくんないとわかんないんだけど?」
嫌なことなんかじゃないよ。
むしろ、逆だよ……。
葵くんは眉を下げてどこか心配そうに私を見つめる。
もう……。
そういう顔もズルいなぁって思ってしまう。
「葵くんにそんなこと言われたら、やっぱり嬉しいって思っちゃう。体育祭の練習の時もそうだよ……女の子はみんな、勘違いするよ……」
私だって……。