【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


「みんな?お前はどうなの?」


「う、嬉しいよ……そう思っちゃうんだよ。だから、困るの……っ」


「なんで?」



あぁ、もう……っ!


無自覚なのか知らないけど、本当になんでわからないんだ。



「彼女が……いるくせに。いちいち喜ばせること言うなんて反則だよ……」



私は意を決して葵くんに本音をもらした。


優しくしてくれるのは嬉しいけれど。


なかなか反応が返ってこないことに葵くんに目をやると、



「は?なに言ってんの?」



目の前にいる葵くんはなぜか呆れ顔だった。



「だって、さっき電話で……話し声が聞こえちゃって……」


「電話……?あぁ。美雨のこと?」



再び葵くんの口から告げられた女の子の名前に、私の心臓は正直に反応した。

< 218 / 300 >

この作品をシェア

pagetop