【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「みんな?お前はどうなの?」
「う、嬉しいよ……そう思っちゃうんだよ。だから、困るの……っ」
「なんで?」
あぁ、もう……っ!
無自覚なのか知らないけど、本当になんでわからないんだ。
「彼女が……いるくせに。いちいち喜ばせること言うなんて反則だよ……」
私は意を決して葵くんに本音をもらした。
優しくしてくれるのは嬉しいけれど。
なかなか反応が返ってこないことに葵くんに目をやると、
「は?なに言ってんの?」
目の前にいる葵くんはなぜか呆れ顔だった。
「だって、さっき電話で……話し声が聞こえちゃって……」
「電話……?あぁ。美雨のこと?」
再び葵くんの口から告げられた女の子の名前に、私の心臓は正直に反応した。