【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「そ、そうだよ……」
「ぷっ……」
「へ?な、なに笑ってんの……っ」
口に手の甲を当てて笑いを零す葵くん。
なにもおかしいことなんか言ってないつもりなのに!
「残念だけど、その推理は外れ」
「外れ……?」
「ほら」
葵くんはスマホを操作して私に差し出した。
「嘘……。この子が、電話の……?」
葵くんのスマホの画面に映し出されていたのは、まだあどけない笑顔を浮かべたひとりの女の子。
ふたつに結んだ髪型に、黄色い学年帽をかぶって、ちょっと照れくさそうにこちらを見ているその大きな目は、葵くんによく似ている……。