【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
放課後、下駄箱で靴を履き替えようとしたら、葵くんが聞いてきた。
「失礼な……!女子だって頑張ってるんだよ?同じメンバーの子、みんな手にマメ出来ちゃったりしてて」
「ふーん?」
「ホントだよ……!?どうしたら勝てるか作戦会議もしてるし……!!」
下駄箱を開く手を止めて意気込んで言うと、さっさと靴を履いた葵くんが吹き出しそうになっている。
「な、なんで笑うの?」
「お前が楽しそうにしてるから」
「……っ、うん。嫌なこともあったけど、今は体育祭頑張ろうって思って」
それは、葵くんのおかげでもあるんだよ。
「よかった」
ふと見上げると、葵くんはまるで自分のことのようにポツリと言った。
そんな葵くんの優しい横顔を見ていたら、たまらなく嬉しくなる。