【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
体育祭が終わったら葵くんの護衛もとかれるだろう。
その頃にはお母さんだってこっちに戻ってくるって話だった。
だからこうやって、葵くんと一緒に帰ったり出来るのも、あと僅かなんだ……。
「陽向ーーー!!」
そんなことを思っていると、葵くんを呼ぶ大きな声が近づいてきた。
「……雷?」
ドタドタと足音を響かせて全速力で走ってくる風谷くん。
「てか、また雨野も一緒だったのか」
「う、うん!風谷くん久しぶり」
乱れた癖のある黒い髪を手で直しながら「お、おう……」とぶっきらぼうに言う。
「雷と雨野、いつの間に知り合ったの?俺聞いてないんだけど」
「えーっと、体育祭の練習がはじまった頃かな?たまたま下駄箱で……」