【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


「陽向って、ほんっとに昔から一度決めたことはひかないよな」


「ああ」


「困ったら俺のことももっと頼れよな」


「そん時は、遠慮なくそうさせてもらう」



葵くんは幼なじみにも家族にも愛されているんだね。


そんな葵くんを巻き込んで、危険に晒すわけにはいかない。


もしも、そんなことになったら私はきっと自分を許せなくなる。


どうかこのまま、葵くんにはなにも起こらないでほしい。


心の中でそう思いながら下駄箱を開いた。



───パサッ……


靴を出そうとした弾みでなにかが落下した。



「おい。なんか落ちたぞ?」



それに気づいた風谷くん。

私は慌ててそれを拾い上げる。



「え?」


一枚の手紙に、ぞくりと背筋が震えた。

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