【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「……っ、えぇ?」
「やっと起きた」
真っ先に飛び込んできたのは葵くんの顔。
キャラメル色の髪がふわりと揺れて、その綺麗な瞳が鮮明に映る。
「きゃぁぁぁぁ……!!」
なにこれ。
ちょ、本当になにこれ……夢?
私の悲鳴と同時に葵くんの眉根がむっと寄せられた。
「葵……くん?」
そっと名前を呼ぶ。
不機嫌な顔をした葵くんの顔が、視界いっぱいに広がっている。
「なっ、なにしてんのよ……!?」
意識がハッキリとしてきた。
これは最悪の目覚めだ……。
だって、私の頭の横に両手をついた体制の葵くんが、呆れ顔で私を見下ろしていたから。