【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「だからわたしも空が全力で顔真っ赤にして綱引きを頑張る勇姿を撮っとくから!!」
「顔面崩壊してるとこ撮ってほしいなんて頼んでないよ!」
あははっ、と海ちゃんが笑った。
好きだな……海ちゃんの、この笑顔。
海ちゃんと話しているとこっちまで笑顔になれるんだ。
「じゃあ、わたしダンスの最終確認もあるから先に行ってるね!」
「うん!」
元気いっぱい飛び出していった海ちゃんの背中を見送った。
本当は、やっぱり不安もあった……。
あんな手紙を最後に体育祭を迎えてしまったから。
もしかしたら今日、なにかが起きるんじゃないかって思ってしまう。
だけど海ちゃんのおかげで憂鬱な気持ちが少し晴れていく。
「それ、結び目緩いんじゃない?」
グラウンドへ駆けていこうとしたら、後ろから声が飛んできた。