【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「こうでもしないと起きないだろ?」
「………お、起きない?」
「何時だと思ってんの?」
「あ……」
壁にかけられた時計を見てハッと息をのんだ。
しまった……。
「俺まで遅刻させるつもり?」
パッと離れて起き上がった葵くんは、既に制服を身にまとっていて準備万端だった。
「ありえない!起きなかった私がいけないけど……勝手に、境界線越えて入らないでよ!」
「越えさせるようなことしないでって、俺昨日言わなかった?」
「……」
確かにそんなやり取りはした。
したけど……。
でも、あんな起こし方しなくても。
いくらなんでも心臓に悪すぎるって……。