【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「なんで、八雲先生が……」
私はその場で声を発するのがやっとだった。
「なんで入院していることを知ってるかって?ずっと見ていたからだよ?」
「え?」
「以前助けてもらったお礼をどうしてもしたいって伝えたら、交番勤務の同僚か知らないけどあっさり教えてくれたよ。勤務地のことも、今は入院中だってこともね」
お父さんの仲間は意外と口が軽いみたいだね、と付け足して笑った。
「違う……」
それはきっと、お父さんの耳に入ったのだろう。
わざわざ自分を尋ねてくれたひとへのせめてもの誠意で、お父さんが知らせてほしいと言ったに違いない。
私は、誰よりも警察官として誇りを持ち、ふれあいを大切にしてきたお父さんの姿を知っている。