【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
視線をスライドさせる。
そこには、警察官の制服を着たお父さんの隣を歩いて笑う、私。
いつの間に撮られたのだろう。
あどけなさの残る私はまだ中学の制服を身に纏っている。
写真……。
────“俺、あれからもう一度確かめたけど、やっぱり雨野に間違いない……”
風谷くんが葵くんに伝えていた。
私と初めて言葉を交わした時も、風谷くんは独り言のように言っていた。
「見つかりそうになった時は焦ったよ。ダメだよ、雨野?ひとの物に勝手に触ったら。今後は気をつけるように、ね?」
プログラムのお手伝いだと思い込んでここに来た時、私はこのファイルに手を伸ばした。
すぐに制されたのは、見られるわけにはいかなかったから……。
そっか。
八雲先生は、ずっと前から私の存在を知っていたんだ。