【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「お前が信じてると言った父親が、どれだけ最低で冷酷な人間か。お前はまるでわかってない」
八雲先生の顔から作られた笑みが消えた。
「───8年前の罪を忘れるな」
「……っ、」
目の前で落とされた言葉に、心臓が押し潰されそうになる。
「忘れたとは言わせない。お前も、覚えているだろう?あの雨の日の事件」
どうして、八雲先生が事件のことを口にしているのだろう。
「お前の父親が見捨てたのは」
どうして、八雲先生の瞳は、こんなにも憎しみに染まっているの……?
「────俺の妹だよ」