【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


……ねぇ、葵くん。


いつも国語の授業は起きていたよね。


そうやって、葵くんはいつも、気にかけてくれていたのかな。


ありがとう、葵くん。



「やめて……ください……」



お願い……。


懇願する私の前に腰を落として、八雲先生は言った。



「父親が人殺しって、ようやくお前も認める気になった?」



私はすぐに首を振った。



「じゃあ、やっぱり葵くんからだね」



その声に、私は八雲先生の手を掴んだ。


体温すら感じない八雲先生の冷たい手を。



「……は?」

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